はじめに
自給自足を目指す人の多くは養蜂に取り組まれているのではないかと思います。
養蜂で得られるハチミツは保存食や非常食としても非常に優れた食べ物です。
私自身、養蜂を始めてみて、ミツバチのかわいさに虜になりました。
せっせと蜜を巣に運ぶ姿は愛らしく、一日中見ていても飽きません。
私の養蜂体験から学んだことなどを紹介していきたいと思います。
養蜂の目的
・ハチミツが取れる
・農作物の受粉を促す
・癒し効果
養蜂の目的はハチミツを得ることですが、周囲の農作物の受粉を促す効果も大きいです。
自給自足に取り組んでいる方なら必ず畑で果樹や農作物を栽培しているでしょうから、近くで養蜂をするのがオススメです。
それから私自身が養蜂を始めてみて感じたのは、ミツバチたちのかわいいことかわいいこと。
その癒し効果は半端なく、一日中見ていても飽きません。
ミツバチさんたちかわいいんだよー
がんばって蜜を集める姿がなんともいえず健気でね
ミツバチの生体
日本には「日本ミツバチ」と「西洋ミツバチ」という2種類のミツバチが生息しています。
日本ミツバチより西洋ミツバチの方が黄色いです。
日本ミツバチは古来から日本に生息していて、日本ミツバチが造る蜂蜜の量は西洋ミツバチの作る量より圧倒的に少ないため希少価値が高いです。
価格は西洋ミツバチの蜂蜜と比較して2倍~4倍します。
ミツバチは1匹の女王蜂を中心とした働き蜂たちで1郡を構成しています。
新しい女王蜂が生まれると旧女王は郡として引っ越しをします(新しい女王蜂ではなく)。
その時期が毎年3月~5月頃で、この引っ越しの時に自作した巣箱に入居してもらうことが養蜂の第一歩になります。
その後、巣箱内で営巣をはじめ、働き蜂たちは蜜を集め、女王蜂はどんどん働き蜂を産んでいきます。
9月頃になると巣の中に蜜がたくさんできてくるのでそれらをおすそ分けしていただく事でハチミツを手に入れる事ができます。
全て取ってしまうとミツバチたちが冬を越せなくなるので半分以上は残しておきます。
特に西洋ミツバチは冬を越すために砂糖水を供給したりと、生命力が弱いのでしっかり面倒を見てやる必要があります。
養蜂への取り組み方
自宅の庭などで養蜂をすると、近所にミツバチが飛び始めて近隣住民の人からクレームが来たりすることも考えられます。
特に分蜂時期は要注意です。
できるだけ周囲に民家のない(できればミツバチの活動範囲である周囲2km)場所で養蜂に取り組むのが良いでしょう。
巣箱を自作する
養蜂のための巣箱には主に3種類あります。
「重箱式」「丸胴式」「巣枠式」
タイプ | 捕獲率 | 採蜜しやすさ | 作りやすさ | 内検しやすさ |
---|---|---|---|---|
丸胴式 | ◎ | × | × | × |
重箱式 | △ | ◎ | 〇 | △ |
巣枠式 | △ | △ | 〇 | 〇 |
最もミツバチが住み着きやすいのは丸胴式です。
本場和歌山県では丸胴式が主流で、地元ではゴーラなどと呼ばれています(下の写真)。
私の自作した巣箱は重箱式です(下の写真)。
重箱式のメリットは量産しやすいことと、採蜜がやりやすいことです。
作り方は他のサイトにいろいろとありますので参考にしてください。
巣箱を設置する
周囲に蜜源の豊富な地域の、西日の当たらない方角に向けて設置します。
とりあえず自然豊かな場所であれば問題ないのですが、農地の近くだと農薬に汚染された植物を蜜源にしてしまう恐れがあります。
理想的なのは山の中だと思います。
群れが巣箱に営巣する
巣箱にミツバチが営巣するようになるには主に2つの方法があります。
自然に営巣するのを待つ
偵察バチが巣箱を偵察し、営巣するのによい環境だと判断してくれればミツバチたちを呼び寄せて営巣を始めます。ただしそれだけでは棲みつく確率は低いので、住み着きやすいようにいくつかのポイントがあります。
・巣箱の近くに「キンリョウヘン」という花を設置しておくと、その匂いに誘引されて集まる
・新しい巣箱には蜜蝋を塗って過去に営巣がされていたようにすることで営巣しやすくなる
蜂球を無理やり巣箱に放り込む
引っ越し時の蜂球を捕まえて巣に放り込むことで強引に営巣させることができます。
ミツバチは1匹の女王バチを中心とした1郡で営巣しますが、新しい女王蜂が生まれると以前の女王蜂は一団で引っ越しをします。
その際に巣から出ていったん木の枝などに球状にぶら下がります(これを蜂球といいます)。
新しい巣の候補地がみつかればその蜂球は移動しますが、その蜂球を捕まえて自作した巣箱に放り込んでやればそこで営巣してくれる確率が高まります。
私もそのようにして一度成功したことがあります。
ミツバチが蜜を集める
半径2kmくらいが行動範囲です。
ミツバチの蜜の材料は、単なる雑草にみえるような植物でも案外蜜源になります。
日本ミツバチは様々な花から蜜を集めますので毎年違った味になります。
百貨蜜と呼ばれます。
西洋ミツバチは単一の花から蜜をあつめ、アカシア蜜とかみかん蜜とか味が一定です。
採蜜する
重箱式巣箱であれば採密は比較的やりやすいです。
養蜂の難しさ
周囲からの農薬被害
ミツバチの集団失踪などが時々ありますが、原因は農薬だと言われています。
最近ではネオニコチノイド系の農薬が使われ出してミツバチが帰巣できなくなり巣を維持できないということのようです。
ミツバチの行動範囲である半径2km周辺に田んぼや畑がないような環境はなかなかありません。
農村部での養蜂よりもむしろ街中での方が農薬被害がなくやりやすい場合もあります。
群の捕獲
初心者にとってはとにかくまず捕獲することが難しいです。
ミツバチを誘引するためにキンリョウヘンを設置したり、巣箱に蜜蝋を塗ったりしてもなかなか巣箱に入ってくれません。
とにかくまず直射日光が当たらないよい設置場所を見つけることです。
蜂球をみつけられればしめたものですが・・・
スズメバチの襲来
秋以降に蜂たちの餌が少なくなるとスズメバチが蜂蜜を狙ってミツバチの巣を襲います。
私もこれによって1郡が全滅したことがあります。
スズメバチが襲来してもミツバチたちは必死になって巣を守ろうと戦いますが、スズメバチ1匹にミツバチ十数匹以上が犠牲になり、なかなか追い払うことができず全滅してしまいます。
あらかじめスズメバチのトラップ(ペットボトルに砂糖水を入れておく罠)を仕掛けておいて対処するなど、秋になる前に対策をしておくとよいでしょう。
さいごに
アインシュタインによれば、「ミツバチが死に絶えたら4年以内に人間も絶滅する」そうです。
本当かどうかわかりませんが、それほどミツバチが人間に与えている恩恵は大きなものです。
ハチミツをおすそ分けいただくという謙虚な気持ちで養蜂を。
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