タケノコの季節
毎年3月~5月はタケノコの収穫期、1年間せっせと世話をしてきた竹林からニョキニョキとタケノコが生えてきます。
その様たるや生命力の塊。こちらまで元気がみなぎってきます。
「木」は1本1本独立した生命体ですが、「竹」は地下茎でつながっており、全体で1つの生命体なのです。
ですから竹を不用意に切ると他の竹まで影響を受けたりします。11月の新月期に竹を伐採するのは、竹林全体の生命力を弱めないためなのです。
自給自足生活タケノコ農園では無農薬無肥料の自然栽培でタケノコを育て、毎年3月中旬ごろから最高級の京タケノコを収穫し始めます。
豊作年と不作年が交互にやってきて昨年不作だったので今年は豊作の年です。
年明けくらいから土の中で成長をはじめ、3月上旬くらいからかなり土の中で大きくなってきます。
イノシシはタケノコが好き?
近年、里山でのサル、シカ、イノシシの大繁殖は私の住む京都の片田舎でも深刻で、特にイノシシが多いです。
大人のイノシシは怖いけど・・・
イノシシの赤ちゃん、ウリボーはかわいいんだよ!
イノシシはタケノコが好きなのでしょうか?
それともタケノコしか食べるものがないからでしょうか。
まだ土から顔を出す前のタケノコを掘り返し、食べ漁ります。
特に今年のような豊作の年はもう2月ごろからタケノコが土の中でたくさん育っていますので、その時期から土が掘り返されて食べられていました。
イノシシはとても警戒心が強く、人間の気配を察知するとすぐに逃げます。
なのでイノシシは夜行性でもないのにタケノコを漁るときはほとんど夜間です。
イノシシは火の煙の匂いが嫌いと聞いたことがあったので焚き火の燃えカスを竹林にまいたりしましたが、あまり効果はありませんでした。
イノシシは穴掘り上手で、とても深く掘ることができます。
スコップもないのに、蹄だけでよくあんなに上手に深く掘れるなー
イノシシの嗅覚
イノシシはどうやってタケノコの埋まっているところがわかるのでしょう。
僕もずっと不思議だったー
ニオイを嗅ぎ分けているのでしょうか。土の中に埋まっているタケノコの匂いを嗅ぎ分けるなどということができるのか大いに疑問ですが、やはり動物の嗅覚はすごいのでしょう。
以前、焚き火で焼き芋をして、そのまま焼き芋を放置して1時間ほど離れて戻ってくると、焼き芋が無くなっていました。
イノシシなら数百メートル離れていても、食欲をそそる焼き芋の匂いなら嗅ぎ分けられそうです。
そういえば警察犬が犯人のニオイの付着した衣類などを嗅いで、数日前に逃走した犯人を追跡するようなことができるそうですが、正直信じられませんでした。
でもイノシシが土の中のタケノコの匂いを嗅ぎ分けることができるのなら、警察犬の話もやはり事実なんだろうかと思えてしまいます。
3月のタケノコは最高級
3月はまだタケノコは土から顔を出しません。
そんな3月のタケノコは最高級品です。土から顔を出す前に収穫できると太陽光が当たらないため、エグ味のないタケノコが収穫できるからです。
太陽に当たらないタケノコは色が白く、白子(しらこ)タケノコという白色美人のような最高級品です。
3月に竹林に入るとまず下の写真のようなヒビ割れを見つけます。
土に埋まった状態で掘り起こしたタケノコは、太陽に当たっていないためエグ味がほとんどなく、お刺身として生でも食べられるほどです。
太陽に当たっていないタケノコは先が黄色く、土から顔を出して太陽を浴びたタケノコは先が緑色なので見分けがつきます。
今年はイノシシにほとんど食べられてしまっていて、1日中探して5本だけ収穫できました。
無人販売で置いておくとすぐに完売してしまいました。
1本1000円くらいで売るのですが、京都の祇園でこれだけの京タケノコをお客さんに出すと10万円くらいに化けます。
収穫したタケノコで料理
タケノコご飯、味噌汁、刺身醤油、シーフード餃子の具、天ぷらなどなど、タケノコはいろんな楽しみ方があって、春にタケノコを食べないと春が越せません。
私のオススメはタジン鍋で、ヨモギやタラの芽などの山菜と一緒に蒸し料理にすると、風味がしっかり染みてとてもおいしい一品ができあがります。
3月収穫のタケノコは灰汁抜き不要。そのまま切ってタジン鍋へ入れます。野菜やタケノコの水分が蒸発してきますので、水を入れる必要もありません。
20分ほど煮て完成。天然塩をかけて食べます。
素材の味が美味すぎる・・・
そりゃイノシシも食べにくるわな・・・。
タケノコ以外の被害
イノシシは基本的に何でも食べてしまいます。
カボチャ、イモ類、大豆などなど、何を作ってもダメでしたが、被害がなかった数少ない野菜は、シソ、ニンニク、オクラ、ウコンでした。
イノシシは香りの強い農作物が苦手っぽいです。
イノシシ被害に遭って思うこと
「自給自足生活タケノコ農園」の周辺には、多くのタケノコ農家さんがタケノコ栽培をされています。
タケノコを売った利益で生活されている方が多いので、イノシシ被害は死活問題です。
イノシシが侵入しないように電気柵を設置したり、大きな発砲音が鳴るような仕掛けをしたり、徹底したイノシシ対策がなされています。
逆に「自給自足生活タケノコ農園」では全くイノシシ対策をしていないので、集中的に狙われます。事実ほとんどイノシシに食べられてしまっているのが現状です。
でも、それでも「まあいいか」と思うようになりました。
腹をすかせたイノシシの腹の足しになるのならと。
イノシシはタケノコを食い散らかしているように見えますが、実際食べ残しは皆無です。
タケノコの皮が散乱しているだけなのです。人間は見習わなければいけませんね。
そんなことで、不作の年は売る分がほとんどなく、豊作の年もイノシシにほとんど食べられてしまって、毎年売りに回せる分はごくわずか。
無人販売で出しておいたタケノコは即完売してしまいます。
今年は通信販売できる分がとれるかどうか。期待しないでお待ちください。
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