タケノコ農家が忙しい新月期
自給自足を目指してタケノコ栽培をしています。
タケノコの収穫時期は3月下旬~5月上旬の2カ月程度ですが、竹林の管理は年中必要で、特に11月の新月の頃に竹を間引いておくことが翌春のタケノコの生育に効いてきます。
新月の頃は地球上の生命体全ての生命活動が緩やかになり、竹も水分の吸収などが少なくなるため、間伐する時期としてはこの頃が最適なのです。
年に一度の11月の新月期(新月前の1週間)は丸一日、竹を切ることに没頭します。
11月の新月期に竹を間引く
11月11日新月直前
早朝6:00、
まだ薄暗い中、静まり返った竹林で竹を切り始める。
澄み切ったしっとりとした空気の中、竹を切る音だけが響く。
直径20cmはあろうかという孟宗竹。
1本切るのにたっぷり1分。
ひたすら切る。
普段、喧騒の中で生活していると、これほど無音状態に置かれることってほぼない。
鳥のさえずりや、風が笹を揺らす音は耳に入っているはずなのに、音を感じない。
無雑音。
そんな環境で一日中、誰もいない山奥で、誰とも会話することなく、誰にも干渉されず、ひとりだけの静かで激しい時間。
新月期は全ての生き物の生命活動が、穏やかに、緩やかになっていく。
そんな山中で、自分も穏やかな心に満たされていく。
そのような状態が1日続くと、心は仏に近づいていくようだ。
その日は1日中、何も食べない。
食欲をはじめ、あらゆる欲が消えていく。
求めなくなる。
心が洗われるとはまさにこのこと。
物欲旺盛な人間が植物の域に近づいていくようだ。
この山の竹や木は、自分の生きている環境を受容し、雨や風や、大地や動物や、全ての環境を受け入れ適応し生きている。
生まれた場所で、あるがままに生きている。
見習うことが多い。
疲れきって竹林の中に佇む。
300本近い竹を切った。
この日切った竹は、冬の間に窯に入れ竹炭にする。
年内にまだまだ竹を切る。
かぐや姫がでてくるのかと思うくらい太い竹を。
俺の前世は、竹取の翁だったかと思うほど、楽しくてしかたない。
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