簡単に作れる干し柿
私の場合、秋の味覚といえば「柿」なんです。
すこし柔らかめの熟しかけの柿が大好きです。
子供の頃は庭に柿の木があって、柿なんて当たり前のように食べられるものだと思っていました。
家の庭には必ず柿の木があるものだと思っていましたし、山の中や道端にも見かけます。
そんな日常にあった柿が最近は買わないと手に入らないものになってしまいました。
干し柿は、食べられない渋柿から簡単に作れます。
もし、身近に手に入る渋柿があるなら、本当に驚くほど簡単に作れてしまうのでぜひ作ってみてください。
渋柿と甘柿
田舎に行くと道端などに自生している柿の木を見かけますが、ほとんどが渋柿です。
甘柿というのは、もともと渋柿から品種改良されてできたものなので、甘柿を植えないと甘柿はできません。
柿にはタンニンというポリフェノールが含まれており、甘柿には水に溶けないタンニン(不溶性タンニン)、渋柿には水に溶けるタンニン(可溶性タンニン)が含まれています。
不溶性タンニンは水に溶けないため、口に入れても唾液に溶けず渋みを感じませんが、可溶性タンニンは唾液に溶けて渋く感じるのです。
この渋柿に含まれる可溶性タンニンを不溶性タンニンに替えてやることが、渋柿を甘柿に変身させるということになります。
・アルコールを塗る
・完熟させる
・40℃くらいの湯に一晩つけておく
・ドライアイスと一緒に密封する
・干す
この中ではやはり「干す」がおすすめです。
干すことで保存食にもなり、一冬食べられるからです。
日光に当てる事で栄養成分も増します。
これらの方法は全てアセトアルデヒドが可溶性タンニンと結合し不溶性タンニンに変化することを利用しています。
干すことで甘くなる理由も、皮をむくことで表面に被膜ができ、柿が呼吸できなくなることでアセトアルデヒドが溜まって可溶性タンニンが不溶性タンニンに変化するからです。
干し柿の作り方
①(私の住んでいる関西では)10月中旬~12月上旬、渋柿を収穫します。
※収穫するとき枝をつけたままにしてください。
②枝がT字になるようにハサミで切っていきます。
③洗って皮を剥きます。
④熱湯に浸して消毒します(省略可)。
⑤焼酎などのアルコールに浸して殺菌します(省略可)。
⑥軒下など雨に当たらないところに干します。
日光に当たるところがよいです。
写真のような日の当たる軒下に干せればよいですが、適当な場所がなければ室内でも十分いけます。私は軒下に干せなかった分は室内に干しています。日光に当たらないので乾燥するのに時間はかかりますが、十分できます。
直置きすると柿の表面が触れているところからカビが発生しますので、吊るすことは必須になるかと思いますが、雨に当たらない場所で吊るすことができれば、室内でも屋外でも、仮に天日に当たらなくても一応できます。
柿を干すのに私は山の中で細いツルをたくさんとってきて、それに括り付けて干しています。
⑦1週間干したらよく揉みます。
揉むことで表面に糖分が析出してきて白い粉が噴いてきます。
※白い粉が噴いてきたら乾燥がうまくいっている証拠ですが、カビが生えてきたら再度熱湯に浸して(アルコール消毒をして)干します。
⑧さらに1週間干してできあがりです。
一般的には、合計2週間程度干しますが、経験的に1週間程度で十分甘いです。
熟しかけの柿であれば2~3日で食べられてしまいます。
干し柿の栄養
「柿が赤くなれば医者が青くなる」という諺があるように、柿は栄養満点です。
干すことによってできる栄養素もあります。
・ビタミンA:目や粘膜、皮膚の健康を保つ
・β-カロテン:体内でビタミンAに変換される、美肌効果
・β-クリプトキサンチン :抗酸化作用
・カリウム:高血圧予防
・タンニン:抗酸化作用、美肌効果、新陳代謝活性化
・食物繊維:便秘解消
干し柿にすることでビタミンAは2倍に増えますが、逆にビタミンCはほとんどなくなります。
渋みを感じさせるタンニンですが、ポリフェノールの一種で抗酸化作用や美肌効果があります。
渋柿が甘柿になるのは、タンニンが抜けるからではなく、可溶性タンニンが不溶性タンニンに変化するためなので、甘くなった柿にもタンニンは含まれています。
まとめ
干し柿はとても簡単にできて、始めて作ったときは、渋柿という食べられない柿からとても甘くて美味しい柿ができることに驚き、感動しました。
これは考えてみればすごいことで、全く食べられなかった渋柿をおいしい甘柿に変身させるマジックのようなものです。
私も初めて干し柿を作ったときはその簡単さと甘さに感動したものでした。
ぜひ作ってみてください。
次は、保存食ランキングです。
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