味噌をつくって手前味噌の意味を知ろう

味噌自然農と自然食

はじめに

自分で味噌を作り始めて10年程になります。

毎年やっているとうまくできる年、できない年、いろいろあって、どうすればうまく発酵するのか考えるようになります。

味噌づくりは楽しいけど難しいよ。

どのような材料でどのような時期にどれくらいの期間発酵させれば美味しいか、などなど経験的に学んだことをまとめてみます。

味噌は昔から伝わる最高の発酵食品だと思います。特に日本人の胃によく合うと思いますので。

ぜひ作ってみてください。

味噌を仕込む時期と完成までの期間

味噌を仕込む時期は、一年で最も寒い大寒の頃が最適です。

冬場は雑菌が少ないからです。

さらに、寒い時期に味噌を仕込むことで発酵が緩やかに進み、うまく発酵し美味しい味噌ができます。

ごはんを焚くのも「初めチョロチョロ中パッパ」で、なんでも初めは緩やかに始めるのがよいのです。

最速で半年ほど発酵熟成させれば食べられますが、基本的には10カ月以上寝かせてその年の晩秋から初冬くらいに完成、さらに寝かせれば味にも深みがでてきます。

市販の味噌は発酵期間をできるだけ短くするために加温発酵させ3カ月くらいで完成させているようです。

やはり自分で作る味噌が美味しいのは味噌を仕込む時期を真冬にし発酵熟成期間を十分とれるということもあると思います。

味噌作りの材料

<味噌作りの材料>
・大豆1300g
・麹2000g
・塩800g
合計6kgの味噌ができます。

この分量で1回分としている理由は、味噌を寝かせておく容器がちょうどこの分量でぴったりであることと、1人で半日かけて完成させられるからです。

大豆の麹の比率は麹が多めの方が甘くておいしいと思いますので上記の分量もしくは少し大豆を減らして麹を増やしても良いかと思います。辛口がお好みならその逆で。

この分量で、大豆を煮始めてから全行程で3~4時間はかかります。

大豆を煮るのと大豆を潰すのに時間がかかりますので。

大豆1300g

自分で育てた自然農の大豆を使用しています(白大豆が一般的ですが黒大豆でもできます)。

遺伝子組み換え検査で遺伝子組み換えでないことが証明されたものを使用しています。

自給自足に大豆は必須
百姓である私がもし1品種しか栽培してはいけないと言われたら、迷わず大豆を選びます。 大豆は自然農で栽培しやすく多用途で、味噌、醤油、豆腐などの原料になり、栄養も豊富ですから自給自足には欠かせません。

大豆は自然農で栽培しやすく、遺伝子組み換えでない大豆の種を蒔けば、近くで遺伝子組み換え大豆が栽培されていたとしても、自家受粉するので交雑する可能性は少なく、一応安心して栽培できます。

味噌作りに使用する大豆は直近その年の秋~冬に収穫したものを使用するのがベストですが、大豆は収穫後にしっかり乾燥させれば保存性抜群で、例えば5年経過したものでも十分味噌作りに使えます。たぶん10年でも。

麹2000g

私は有機JASの米麹を使用しています。

当初、麹も自前で準備できないかと自然農で栽培したお米を蒸して麹菌を繁殖させて米麹を作ろうとしました。しかし、やはり微生物はとてもデリケートで、うまく麹菌だけ繁殖させることは至難の業です。

麹菌を買ってきて米麹を作るということも考えましたが、結局米麹を買っています。

有機JASのものだと1kg2000円程度、有機でないものなら1kg1000円ちょっとで購入できます。

米麹以外に、麦麹、豆麹などありますが、どれでもお好みで良いかと思います。

塩800g

必ず天日塩などの天然の塩を使用します。

私が使用している「海の精(赤ラベル)」です。伊豆大島の美しい海水を原料に天日干しして作られた天然塩です。

大量購入して保存してあるものを使用する場合は、固まっていることがあるので、塩切り麹を作る時にほぐしてください。

材料以外の準備物

材料以外に必要なモノは、味噌を入れる容器です。

私は森修焼の陶器を使用しています。

プラスチック容器は味噌に溶けだす心配があるため、健康のために容器は木製か陶器にしてください。

私のオススメは森修焼の「ぬか漬け容器」か「つけもの三昧」です。

上記の分量で「ぬか漬け容器」なら1個、「つけもの三昧」なら2個で入ります。「つけもの三昧」用の重石もあります。

とても高価ですが遠赤外線効果でうまく発酵が進み、とてもおいしい味噌に仕上がります。


味噌作り手順

①大豆を水に浸す

味噌作り前日の朝、大豆1300gを3倍の水に漬けて一昼夜寝かせる。

水を吸って大豆が膨らむため、容器はかなり大きめのモノが必要です。

水を完全に吸収して浸らなくなれば水を追加します。

大豆を水に浸した直後
大豆を水に浸した直後
大豆を一中や水に浸した後
大豆を一中や水に浸した後

上下の写真を見比べてみればわかりますが、一昼夜水に漬けておくと大豆が水を含んで膨らんでいます。

②大豆を煮る

味噌作り当日、前日に仕込んでおいた大豆をそのまま煮ていきます。

私は自宅の庭で焚き火をして煮ます。

ときどき灰汁を取り除きながら行ってください。

ポイントは十分過ぎるくらい煮ることです。

この後の工程で大豆を潰しペースト状にしますので、十分柔らかくなっていないとつぶすのに時間がかかりますし、煮るのが不十分だと潰れないこともありますので。

指で軽く潰れるようになったら十分です。

大豆を煮る
大豆を煮る
大豆を煮ていると灰汁が出てくる
大豆を煮ていると灰汁がでてくる

写真でわかると思いますが、大豆を煮ているとすごい量の灰汁(アク)が出てきます。生クリームのようなアクです。こまめにすくい取ります。

③「塩切り麹」を作る

大豆を煮ている間に、塩800gと麹2000gを混ぜておきます。
混ぜたものを「塩切り麹」と呼びます。

④大豆をつぶす

煮た大豆をペースト状に潰していきます。
熱いですが私は素手で時間をかけて潰しています。

大豆をつぶす
大豆をつぶす

⑤ペースト状の大豆と、塩切り麹を混ぜる

均等に混ざる様工夫してください。

⑥混ぜたものを団子状にして容器に詰める

団子状にしたときに水分が少ないとうまく団子にならずボロボロこぼれます。

その時は大豆に煮汁を少し追加し水分を含ませてうまく団子になるようにしてください。

逆に言うとうまく団子になる程度の水分量が必要で、多すぎてベチャベチャなのは発酵がうまくいきません。

容器に詰める時は空気が入らないようしっかり詰めていきます。

団子を投げつけるという方法も紹介されていたりしますが、そこまでは必要ないと思います。

容器はアルコール消毒するのが良いと思います。

詰められたら最後に塩で蓋をします。

味噌団子
味噌団子
味噌仕込み
味噌仕込み(容器に詰める)
味噌仕込み(塩で蓋をする)
味噌仕込み(塩で蓋をする)

⑦冷暗所に置いて半年以上発酵させる

半年で食べられますが1年以上熟成させたほうが美味しいです。

1年寝かせた味噌が下の写真です。カビだらけのように見えますが、まあまあです。

赤や青のカビが生えているとよくありませんが、白のカビは大丈夫です(経験的に)。

1年熟成味噌
1年熟成味噌

味噌の美味しい食べ方

・味噌汁

本当においしい味噌で作った味噌汁は絶品です。

年中毎日食べて飽きません。

・味噌はちみつ

味噌に甘みを加えるためにハチミツと混ぜると美味しいです。

ご飯に乗せて食べれば進みます。

味噌はそのままではカビが生えやすいのですが、ハチミツと混ぜて保管すれば保存性が高まります。

・油味噌

亜麻仁油などの生でサラダなどにかけるオメガ3系の油と味噌を混ぜます。

これもごはんのお供にとてもよく合います。

・焼きおにぎり

焦げた味噌がとても美味しいです。

「たまり液」は美味

味噌を熟成させる過程で底に溜まった「たまり液」をご存知ですか?

味噌のたまり液
味噌のたまり液

実はこれが醤油の原型とも言われていますが、とても濃厚で美味です。

これは味噌を自分で作っていないと手に入らないものだと思うので、自作した人はぜひこの濃厚な液体のおいしさを味わってください。

さいごに

味噌を作るとどうしても自慢したくなります。

そして、これが手前味噌というものだと気づきます。

次は、梅干し作りです。

無農薬天然塩の梅干しを作って、クエン酸の脅威のパワーを体感せよ
簡単に作れて栄養満点、保存食にもなる最高の食べ物は「梅干し」と「干し柿」です。どちらも「干す」という共通点がありますが、特に梅干しは市販のものが農薬漬けの梅だったり精製塩を使っていたりで買うに値しないものが多いので、自分で作るといいものができます。簡単に作れてしまうのでぜひ作ってみてください。

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