私は36歳のときに、人生のどん底で死のうと思ったことがありました。
その時に考えたこと、もがいたこと、必死になって生きる方法がないか模索したことを記します。
今死にたいと思っている人の心に少しでも響けば幸いです。
振り返ってみて人生の分岐点だったことを書き出す
私は、「死にたい」と毎日思って生きていたあの頃、生きていくためには価値観を変えるしかないともがいていました。
人生のどん底と感じていた自分がまず必死になってやったこと、それは自分の人生を振り返り、人生の分岐点を思い出すことでした。
人生においてタラレバはないけれど、自分の人生の分岐点で「もし」別の道を歩んでいたらどうなっていたかを全て書き出しました。
ただし、現実的にありえた選択肢、迷ったけど選ばなかった人生の別の道を挙げていきます。
・もし小学校で登校拒否をしていたら
・もし中学時代にいじめを受けていたら
・もし高校受験に落ちていたら
・もし高校の部活の怪我で一生車椅子生活になっていたら
・もし大学受験に落ちていたら
・もし大学時代にオウム真理教に入信していたら
・もしあの時、新卒で就職していなかったら
・もしあの時、会社を辞めていなかったら
・もしあの時、公務員の道を選んでいたら
・もしあの時、愛する人に出会っていなかったら
・もしあの時、交通事故で人を死なせていたら
書いてみて、自分がいかに運のよい人生を歩んできたか、痛切に思い知らされます。
大学受験合格で使い果たしたと思っていた運が、まだまだその後も運の良さに助けられ生きてきたんだなぁと思いました。
あのときの自分が「人生のどん底」と感じていた状況。
その状況を改めて見つめてみて、「最悪の状況」とは何かを正しく理解する必要を痛感します。
上で挙げた状況がもし起こっていたら、今の「どん底」と思っているような状況はまだまだ軽い。
幻影旅団メンバーのフランクリンとシャルナークの会話
フランクリン「今俺たちにとって最悪のケースってのはなんだ?」
シャルナーク「んーーー、団長はすでに死んでて、他のメンバーが鎖野郎に操作されてる、鎖野郎の所在は結局知れずこの2人にもまんまと逃げられる、かな」
フランクリン「それが間違ってんだよお前らは。最悪なのはオレ達全員がやられて旅団が死ぬことだ。それに比べりゃお前が言ったケースなんざ屁みてェなもんだ。違うか?」
マンガを知らない人には意味不明かもしれませんが・・・
このときシャルナークは合理的に最悪の状況を並べ立てたつもりなんですが、フランクリンは最悪の前提を間違えませんでした。
いつも「最悪の状況ってなんだ?」と自分に問いかける癖をつけてください。
そして「最悪の状況の前提」を間違えないでください。
「今」置かれている状況が如何に幸運によって成り立っているかに気付くことが大切です。
殺人を犯した死刑囚への思い
上で挙げた私の人生の分岐点の中に、「もし大学時代にオウム真理教に入信していたら」というのがあります。
昭和生まれの人には知らない人はいないオウム真理教の一連の事件。
平成生まれの人にはなじみのない人が多いかもしれません。
オウム真理教の教祖浅原彰晃に魅せられてしまった井上、土屋などの死刑囚たち。
彼らの人生を知る時、「自分も一つ間違えば彼らと同じ道をたどっていたかもしれない」という思いに駆られます。
たまたま浅原という人物に出会ってしまった不幸。
それがもし自分だったら・・・
彼らが死刑宣告を受けた後、獄中で何を思い、死刑を受け入れていったのか。
井上死刑囚は拘置所の中で「すべての罪は我が身にあり」と手記を残し、死刑執行の直前、「(両親に)心配しないでください、ありがとうございました。」
「こんなことになるとは思っていなかった。」と最後の言葉を残したそうです。
自分が彼の立場だったら、同じことを思い死んでいったかもしれません。
生々しい死の直前の様子などを読んで自分に重ね合わせた時、自分は幸運だった、自分の人生のどん底はまだまだぬるいと思わずにはいられません。
生物界最強キメラアントの王が死を前にして、死を受け入れて発した独り言
「ほんの少し…だったと思う
どこかでほんの少し…何かがほんの少し違っただけで
今の余ならば、神とまでは言わぬが…この世を…
いや、全てが一致しての現在だからこそそう思うだけなのかも知れぬ・・・」
ほんの少しの違いで全く異なっていたであろう人生、その事実に気付くと「今」は奇跡の連続で成り立っている事を知ります。
人生には多くの分岐点があります。
小さな選択は毎日のようにあります。
その選択がほんの少し違っていただけで全く違う人生になっていたということを知るのは、「気づき」のひとつだと思います。
時間の経過が導いてくれる先
人間は忘れていく生き物です。
良くも悪くも。
受験生時代は覚えた瞬間から忘れていく人間の脳の仕組みを呪ったりしました。
ですが、今は忘れる事のありがたさを思います。
人間は辛い記憶を忘れるようにできています。
そのような辛い記憶をしっかり覚え続けていると生きていけないからです。
当時は「人生のどん底」と思っていたことも、振り返れば人生の1ページ。
時間が解決してくれる悩みは多いんだなと思います。
殺されずに済んだウェルフィンの一言
「人間死ななきゃ生きられるもんさ」
「おまえも死ぬまで死ぬなよ」
次は、末期がんで亡くなった叔父さんの話。
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