はじめに
自給自足を志し、自然農で稲作に挑戦しました。
稲作は、お米を収穫できるだけでなく、米糠(こめぬか)、籾殻(もみがら)、藁(わら)など、自給自足に役立つ物がたくさん得られます。
ニワトリを飼っているので米糠や籾殻は重宝しますし、藁があると色々モノ作りができます。
藁で猫ちぐらも作れます。
はたして肥料をやらない自然農でお米ができるのか。
稲作1年間の様子
3月:種蒔き
初年度は有機の種籾を購入し、2年目以降は前年に収穫した種籾を蒔きました。
田んぼの一角を泥状にし、種籾を蒔いて上から藁を被せておきます。
藁は鳥が種籾を食べてしまわないためです。
数週間経つと藁の間から新芽が出てきます。
4月~5月:田植え
苗床で育った苗を田んぼに植え替えていきます。
そもそもどうして直播きせずに苗を育てるのかというと、良い苗だけ選んで植えられることと、風通しのよい最適な間隔で植えられるからです。
稲刈りをするときにコンバインを使用しないので整列させて植える必要はありませんが、密集しすぎると風通しが悪く病気の原因になりますし、植える間隔が広すぎると収量が落ちます。
1反(1000平米)程度の広さなら一人で一日田植えをすれば植える事ができると思います。
一年間で一人が食べる量くらいは1反あれば賄えます。
6月~9月:雑草処理
ひたすら雑草との闘いが始まります。
特に苗を植えてしばらくは雑草のヒエと見分けがつきません。
雑草処理をしやすくするためには田植えのときに整然と植えた方が良いかもしれません。
雑草を食べてもらうために合鴨農法というのがありますが、合鴨自体がアヒルとマガモの掛け合わせという不自然な生き物で、自然界に放してはいけないことになっている点で自然農には合わないのではと思います。
雑草を食べるのは雛の時だけということで、成鳥になると殺される運命とか。
9月ごろになって実をつけだすと鳥に食われ始めます。
周囲の田んぼに鳥よけがされていると、鳥よけのない田んぼは集中的に狙われますので注意です。
10月:稲刈り、乾燥
しばらく良い天気が続きそうな日を選んで稲刈りします。
鎌を使って刈り取り、刈り取った稲は天日干しするため、竹で組んだ稲架(はさ)に掛けていきます。
稲架掛け乾燥といいます。
慣行農法では機械乾燥が一般的ですが、日光で乾燥させることでお米が美味しくなります。
11月:脱穀、籾摺り
約2週間の稲架掛け乾燥が終わると、脱穀をします。
脱穀は稲穂と藁を分離していく作業で、昔は千歯扱き(せんばこき)と呼ばれる脱穀機が使われていました。
コンバインが普及するようになって、稲刈りと脱穀が同時にできるようになりましたが、私はガソリンを使うような機械を使いませんので、千歯扱きとまではいきませんが、写真のような「足ふみ脱穀機」を使っています。
脱穀が終わると、籾摺りです。籾摺りは籾殻を剥いで玄米にする工程です。
これは昔の様に一升瓶にいれて突いて籾摺りしていると時間がいくらあっても終わりませんので、機械で行います。
12月~2月:田んぼ水張り
慣行農法では冬場は田んぼに水は貼らずに乾かしておくのが普通ですが、自然の生態系を豊かにするためには水を張っておいた方がよいのです。
すると微生物やミミズなどが生息するようになり、それを餌にするカエルやメダカが棲みつき、それを餌に鳥が飛来します。
微生物が棲みつくことで切株などが分解され土が肥沃になります。
また、春に雑草が生えにくくなることもメリットの一つです。
しかし、冬に水を確保できる田んぼは全国的にも少なく、なかなかできないようです。
栽培した品種はコシヒカリでしたが、一部モチ米も栽培しており、年末に餅つきをすることが恒例になっています。
モチ米を蒸して、杵と臼で餅つきをしています。
3年間の挑戦の結果
初年度は1反(約1000平米)で250kg程の収穫がありました。
慣行農法では500kgが平均的な収穫量ですが、自然農にしては上出来だったと思います。
しかし2年目、3年目と収量が減っていき、3年目以降は苗が育たなくなりました。
やはり肥料をやらないと徐々に土地が痩せて収穫できなくなるのかと思いました。
収穫した米以外の、籾殻や藁はできるだけ土に還して循環するようにしているのですが、それでも十分ではないようです。
いろいろ調べてみると、自然農では水はけが悪いと病原菌が繁殖して翌年育たないと聞きます。
水はけのよい土地を探して稲作にはまた挑戦したいと思いますが、土地が見つかるまでお預けです。
次は、自給的農作物ランキングです。
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