自給自足に大豆を一番にお勧めする理由
自然農で作りやすい
自然農の基本は自家採取ですが、大豆はそのものが種なので大豆を収穫してそのまま保存しておけば次の年に種として使えます。
大豆は保存が効いて5年、10年と持ちますが、種として使えるのは収穫後の翌年までです。
無農薬・無肥料で簡単に栽培できます。
様々な加工食品の原料になる
日本の伝統的な食品である味噌や醤油をはじめ、納豆、豆腐、おから、湯葉、きなこ等々、を作るためには大豆は欠かせません。
自給自足に大豆が重宝するのは、大豆がこのような食品の大元になっていることがあります。
遺伝子組み換え(GMO)大豆が大量に出回っている
日本では遺伝子組み換え(GMO)大豆の流通が認められています。
GMOはgenetically modified organism の略です。
遺伝子組換え農産物がなぜ作られたかというと、主に農薬や除草剤に負けない品種を作る為です。
つまり遺伝子組換え農作物は、DNAが人為的に組み替えられているという怖さに加えて農薬や除草剤が大量に使われて栽培されているという二重の危険性があります。
品種改良と遺伝子組換えとは全く違いますので注意してください。
遺伝子組換え大豆を完全に避けようと思えば自分で栽培する以外ありません。
そのあたりの詳細は次項で。
遺伝子組み換え(GMO)大豆について
GMO農作物の現状
消費者庁HPによると、GMO農作物として以下の8品目が流通しています。
・大豆
・トウモロコシ
・ジャガイモ
・アルファルファ
・甜菜
・菜種
・綿実
・パパイヤ
2018年の時点で、これらの農作物は食品表示法により、「遺伝子組換え」又は「遺伝子組換え不分別」と表示しなければいけません。
「遺伝子組換えでない」との表示は任意です。
つまり、醤油や大豆油はGMO大豆が使われていても表示の必要がなく、5%以下の少量であればどんな食品でも表示義務がないのです。
これらの場合にはGMOが混入していても消費者は知るすべがなく、このような制度設計になっているため、市販品を買う限り日本でGMOを避けることは至難の業です。
私が大豆を自給すべしというのはこのような理由が大きいです。
基本的に、大豆が原料の加工品を買う場合には、「遺伝子組換えでない」と表示されていなければ、遺伝子組換えだと判断して良いと思います。
さらに「遺伝子組換えでない」と表示されていても5%以下の割合で混入されている可能性もあるわけです。
ちなみに、有機JASマークのある加工品には遺伝子組換え種苗は使われていません。農薬や除草剤が使われている可能性はありますが。
自家受粉と他家受粉
植物は、花粉がめしべについて受粉することで増えていきますが、花粉が同じ個体のめしべに受粉することを自家受粉といい、別個体同士で受粉することを他家受粉といいます。
大豆は自家受粉ですので、1本でも受粉することができます。
自家受粉は自分で自分に受粉するわけですから容易にできますが、他家受粉は1個体では子孫を残すことはできず、ミツバチなどに受粉を助けてもらう必要があります。
しかし他家受粉は様々な特性を持った種を残すことができて遺伝的多様性の面から有利です。
大豆のような原始的な作物は自家受粉なんですね。
キュウリやカボチャなどのウリ科は他家受粉が多いです。
因みに、ジャガイモのように有性生殖(受粉)ではなく種芋で増えるものがありますが、これを無性生殖(栄養生殖)といいます。
チューリップも栄養を蓄えた球根で増えますので「栄養生殖」です。
サツマイモもそうですね。
遺伝子組換え検査
大豆は自家受粉なので1本の大豆で受粉を完結してしまいます。
これによって例えば周囲に遺伝子組換え大豆が栽培されていても交雑することがほとんどなく、一度遺伝子組換えでないことが検査で証明されれば、その後の栽培で遺伝子組換え大豆との交雑を心配する必要がほぼありません。
ただし「ほぼ」ゼロではありますが、例えば1m程の距離に植えた大豆同士が他家受粉する確率は1%以下ではあっても完全にゼロにはならないようです。
ミツバチなどが近くを飛んでいるともう少し確率は上がるようです。
私は「日本認証サービス株式会社」に検査を依頼し、遺伝子組換えでないことが証明された大豆を栽培しています。
検査費用は1万円ちょっとかかったと記憶しています。
検体として大豆1.7kgも提出する必要があって、もったいないなーと思ったことを覚えています。
大豆の栽培方法
①種蒔き
種は前年に収穫したものを6月下旬~7月上旬に蒔きます。
関西に住む私は毎年7月1日に種蒔きをしています。
大豆はとても栽培しやすくはじめてでも簡単にできてしまいますが、唯一困難があるとすれば、種を蒔いた後に鳥に食われることです。
大豆が新芽を出すと必ず鳥が食べに来ます。
新芽から成長して双葉が出れば鳥は食べなくなりますので、その段階まではポットなどで苗を育てるようにします。
私は竹筒を作って土を入れ、日の当たる屋内で苗を育てて、双葉が少し出れば定植しています。
②手入れ
大豆は自然栽培(無農薬、無肥料)でとても育てやすく、雑草で埋もれてしまわないようにだけ注意してあげれば、水すらあまり必要ありません。
土がカラカラにならない程度の水やりをしてあげましょう。
③開花
9月頃に開花して、自家受粉します。
④枝豆収穫
受粉すると実がついて枝豆ができます。
自然栽培の枝豆はとてもおいしいです。
枝豆として収穫するのであれば、黒大豆がオススメです。
粒が大きいので食べ応えがあります。
⑤大豆収穫
11月頃になると乾燥してきて大豆ができます。
12月頃まで放置しておくと完全に枯れますので、その時点で収穫すれば楽です。
⑥保存
収穫した後は鞘を取って天日干しして乾燥させます。
しっかり乾燥すれば何年も保存が効きます。
大豆の栄養と利用法
大豆の栄養素
大豆は「畑の肉」と言われるようにタンパク質が豊富です。
大豆のタンパク質は体内で合成できない8種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいる為、「良質」なタンパク質と言われます。
大豆は日本人に不足しがちなビタミンやミネラルが豊富です。
・ビタミンB1
・ビタミンE
・葉酸
・カリウム
・カルシウム
・マグネシウム
・リン
・鉄
・亜鉛
・銅
・大豆レシチン:細胞の構成
・大豆サポニン:抗酸化作用
・オリゴ糖:ビフィズス菌など腸内細菌の餌
・大豆イソフラボン:更年期障害予防、骨粗鬆症予防
大豆の利用法
私の場合は味噌を作るために大豆を作っているようなもので、これをやらないと冬が越せません。
味噌を作る過程で必ず大豆を煮ますので、毎回つまみ食いをするのですが、その美味しいこと美味しいこと。
そしてその煮汁の美味しいこと美味しいこと。
煮汁は美容にも効果があって、肌につけるとプルプルになります。
江戸時代の人はそうやって化粧水代わりに大豆に煮汁を利用していたようです。
さらに煮ている時に出てくる灰汁(アク)は抗酸化成分サポニンを含みます。
生クリームのような灰汁がでてきます。
味噌作りのときは灰汁を取り除きますが、煮豆などで食べる時は灰汁はそのままにして食べましょう。
さいごに
大豆は栄養素が豊富で栄養価も高く、用途も広いため自給自足には最も必要とされる農作物だと思います。
自然農による栽培も簡単なのでぜひやってみてください。
次は、自家栽培大豆を使った味噌作りです。
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